1. はじめに
マズラプです。76回目の投稿になります。
今回は、本を読んで印象に残ったこと第47弾になります。
今回は、「子どものまま中年化する若者たち 根拠なき万能感とあきらめの心理」(鍋田恭孝) を読んでいて印象に残ったことに関して、他の内容も交えながら、考えていく内容になっています。
いつもより長めですが、どうぞ読んでいってください。
2. 「理想の将来像の消滅により、若者は努力の方向性を失ってしまったようだ」
では、今回印象に残ったことを紹介します。
"社会から、あるいは親の世代から理想像が消えると、思春期の個人の理想像も消えるようだ。(中略)
いまや価値観は多様化し、社会が求める共通の理想像が消えたため、努力する方向性を若者は失ってしまったようだ。このことが、若者全体から、将来に向けて努力しようとする姿勢を失わせている可能性もある。"
(「子どものまま中年化する若者たち 根拠なき万能感とあきらめの心理」鍋田恭孝 より)
本書では、最近(本書が出版されたのは2015年)の若者には、体力的精神的ともに、活力の減少が見られると述べられています。そのことを示す例の1つとして、若者の将来に向けて努力しようとする姿勢の消失が挙げられています。
本書によれば、アンケート調査等から、最近の若者は、将来に希望を見出さず今の生活に満足していたり、将来は運によって左右されると考え将来のための努力をしない傾向にあると述べられています。
このことにはこちらの記事でも触れています。
この記事でも述べたように、私自身も、今の生活に満足しており、将来のための努力は現状していません。というわけで私は、本書で述べられている最近の若者の特徴は、概ね正しいものなのではないかと考えました。
では次に、理想の将来像が定まっていないことが、若者が将来へ努力する姿勢を失うことに影響を与えているのかについて、別の本の内容を用い、考えてみます。
3. 選択肢が多ければ多いほど良いわけではない。選択のパラドックス、選択回避の法則
理想の将来像が定まっていないということは、将来何にでもなることができる、と考えることもできます。すなわち、将来の選択肢が非常に多いということであると言えます。
しかし、選択肢が多ければ可能性が広がって良いというわけではないのです。
「後悔しない超選択術」(メンタリストDaiGo) には、選択肢が多すぎることにより発生する「選択のパラドックス」「選択回避の法則」について記述されています。
"選択のパラドックスとは?
悩んだ末に選択肢を決定しても、「選ばなかった選択肢のほうがよかったのではないか」という後悔の念が生じてしまう。"
選択のパラドックスとはこのようなことです。例を挙げると、サーティーワンで数あるアイスのフレーバーの中から1つを選んだあと、「いや、やっぱりポッピンシャワーの方が良かったかもしれない」といったように、別のフレーバーのことが頭をよぎってしまい、後悔の気持ちが湧いてしまうといったことです。
"選択回避の法則とは?
人は選択肢が多過ぎると新たな決定や行動をためらう心理傾向があり、結局「現状維持」を選んでしまいがち。"
選択回避の法則はこのようなことです。例を挙げると、サーティーワンに行ったはいいものの、アイスのフレーバーの種類の多さに圧倒されてしまい、「まぁ今回もいつも食べているレモンソルぺでいいか」といったように、いつも選んでいる選択肢を選択してしまうといったことです。
この「選択のパラドックス」「選択回避の法則」は、前述した自分の将来の選択にも影響を及ぼします。
「教師になろう!」と思い立って教職課程を履修しはじめたものの、「選択のパラドックス」により、「やっぱり民間企業に就職した方がいいのかな…」と考えてしまい、教職の勉強に身が入らなくなってしまう。
「音楽クリエイターになりたい!でも医者にもお笑い芸人にも興味があるなぁ」と考えているうちに、「選択回避の法則」により、「まぁとりあえず選択肢が広がりそうな、それなりの大学進学をしておこう」とか「無難そうな公務員を目指そう」とか「親のいったことに従おう」という決断に至ってしまう。
これらのように、将来の理想像が決まっておらず、多様性のある世の中であることが、将来自分が歩む道を選択することに対してマイナスの影響を与える可能性もあるのです。
したがって、将来の選択肢の拡大が、若者の将来への熱意の消失に関係していると言えます。
また、「『めんどくさい』がなくなる本」(鶴田豊和) では、思考に多くのエネルギーを費やしてしまうと、行動に回す分のエネルギーがなくなってしまい、結果として「いろいろ考えたけど何もしない」状態に陥ってしまう、という旨の内容が記述されていました。
このことは、将来の理想像が決まっておらず、様々な選択肢を検討しなければならない状況にある最近の若者にも当てはまると考えられます。
このことからも、将来の選択肢の拡大が、若者の将来への熱意の消失に関係していると言えます。
上記の内容から、理想の将来像が定まっていないことが、若者が将来へ努力する姿勢を失うことに影響を与えていると言えると考えられます。
4. 将来の夢を見つけるには新たな刺激を受け続けることが大切
では最後に、そんな世の中で、自分の理想像を確立し、それを追い求める姿勢を確立するためにはどうすればいいのかについて考えてみようと思います。
私は、そのためには、「様々なことを経験し、新たな刺激を受け続け、自分の価値観を更新し続けること」が必要であると考えました。
このことは、こちらの記事を読んでいて感じたことになります。
この方は、留学をするという動機をより鮮明に考えるために、インターンシップやトークイベントなど、様々な経験をし、自分を新たな刺激に晒すという行動をとったそうです。結果として、自分の価値観が更新され、自分の留学するための動機文を作り上げることに成功しています。
また、このような、様々な経験を積み、自分の価値観を更新することは、自分の将来の理想像を見つけることにもつながると考えられます。
前項では、選択肢の多い環境での選択の難しさについて述べました。しかしながら、結局のところ、ただ悩んで選択をしないままでは、何にもなることはできないのです。
選択肢が多いからこそ、思考停止に陥らずに、1つ1つ選択肢を吟味し、「これが自分の選択だ!」と自信を持って言えるような理想像を見つけることが大事なのではないか、私はそう考えました。
毎日同じような日々を過ごすだけでは、今まで見つけられていないものである自分の理想像を見つけることはできません。自分から、新たな経験を得るために行動する必要があるのです。
上記で述べたように、自分の理想像を確立し、それを追い求めていくためには、「様々な経験をし、新たな刺激を受け、自分の価値観を更新していくこと」が大切であると考えられます。
私も新たな経験を得ていきたいところですが、私は現状維持を具現化したような存在と言っても過言ではないので、そう簡単には一歩を踏み出せません…。というわけで今後はせめて、今まで読んだことのないジャンルの本を手に取っていくことを意識していきたいと思います…。
5. おわりに
今回の内容は以上になります。ここまで読んでいただきありがとうございました。
今回はいつも以上に綺麗にまとまっているような気がしています。その分長くなっていますが、ご容赦ください。
では、今後もよろしくお願いします。
6. 参考文献
・「子どものまま中年化する若者たち 根拠なき万能感とあきらめの心理」, 鍋田恭孝, 2015, 幻冬舎新書
https://www.amazon.co.jp/子どものまま中年化する若者たち-根拠なき万能感とあきらめの心理-幻冬舎新書-鍋田-恭孝/dp/4344983874
・「後悔しない超選択術」, メンタリストDaiGo, 2018, 西東社
https://www.amazon.co.jp/後悔しない超選択術-メンタリストDaiGo/dp/4791627172
・「『めんどくさい』がなくなる本」, 鶴田豊和, 2015, フォレスト出版
https://www.amazon.co.jp/「めんどくさい」がなくなる本-鶴田豊和/dp/489451656X