1. はじめに
マズラプです。145回目の投稿になります。
今回は、百合漫画「ささやくように恋を唄う」第3巻を読んだ感想を書いていこうと思います。
1巻2巻の感想は文章にしてきませんでしたが、今回の第3巻はあまりに素晴らしく絶大な萌えとトキメキを感じたので、今回文章に致しました。
そんな「ささやくように恋を唄う」第3巻を読んで特に印象に残ったことを3つあげていきます。
重要なことなので最初に言っておきますが、私はこの作品の絵が大好きです。
どのキャラクターのどんな表情を見てもトキメキを感じるくらい好きです。
絵の良さについては、全巻の全場面を通じて該当することなので、今回の特に印象に残ったことには挙げていません。
しかしだからといって、この作品の絵についてなんの印象も抱いていないわけでは決してない、むしろこの作品の絵が好きで好きでしかたないということを、どうかわかっていただければと思います。
竹島えく先生最高!!
といわけで、前置きが長くなってしまいましたが、どうぞ読んでいってください。
2. ささやくように恋を唄う 3 を読んで特に印象に残ったこと3選
①ネガティブな表現による好きが『好き』に変わっていく様子の見せ方
1つ目は、ひまりの『好き』が「恋愛の好き」に変わっていく様子の表現の仕方についてです。
これは、第13話「部室、初めましてと、知らない痛み。」におけるワンシーンを見て感じたことになります。
依たちがいる軽音部の部室に来たひまりは、「SSGIRLS」のバンドメンバーたちと和気あいあいと談笑します。
そんなときふと、楽しそうに話す依とアキの姿が視界に入り、ひまりは「ズキ」という痛み、そして胸の苦しみを感じていました。
私はこの場面で、「痛み、苦しみというネガティブな観点から、ひまりの好きが『恋愛の好き』に変わってきている」ということを表していることに、作者の方の表現の巧みさを感じました。
“好き"という言葉を聞くと、「毎日に色がつく」とか「胸がキュンキュンする」とかポジティブな面を思い浮かべることが多いです。
しかし、特定の誰かを好きになることは、その相手に執着するということでもあり、「好きになった相手を誰にも取られたくない」や「好きな相手の隣に自分以外がいる状況に胸が苦しくなる」といったような、ネガティブな感情を抱くことも考えられるのです。
今回の第13話の場面では、そんな痛みや苦しみといったネガティブな面から“好き"を表現していました。
「依とアキが楽しく話している→依が自分ではない人と楽しそうにしている→依と楽しく話すのは自分じゃなきゃイヤ→依の隣は自分が良い→依のことが“好き"」のような連想で、ひまりは依のことを恋愛的に好きだと思っていると推察することができます。
正直私は、ひまりの恋愛的な好きをこのようなネガティブな感情で表現してくることは想定していなかったので、作者の方の表現の巧みさに感動していました。
また、この「自分の意中の人が自分以外の誰かと二人きりになってモヤモヤする」ことは、ひまりだけでなく、依も第2巻で抱いている感情なのです。
依は、ひまりのことが恋愛的に好きだと自覚しています。したがって、そんな依と同じ感情を抱いているひまりも、恋愛的な好きが芽生えていると言えます。
このような、依と同じ感情を抱いているという点から、ひまりの好きが恋愛的な好きに変わってきていることを読者に伝えているというのも、個人的に好きでしたね。
これらの点から、第13話のこのシーンは、非常に印象に残っています。
②思いが通じ合った依とひまり
2つ目は、ひまりと依の気持ちが通じ合ったシーンについてです。
第15話「ひとめぼれ、約束の日。」では、ひまりが自分の『好き』を見つけ、ついにひまりと依が恋人として結ばれました。
やはり第3巻を語るにあたって、この場面は外せませんね!
この感動的な回の中で、私はひまりと依の思いが通じあった部分が特に印象に残りました。
依は、「私の隣で歌を聞いてくれるのはあなたがいい」という思いを込めながら、ひまりに向けて「Sunny Spot」を歌いました。
そしてそれを聞いたひまりは、依に今の気持ちを伝え、「依先輩の歌を隣で聞くのは私がいい」と締めくくり、依のことが好きであることを告白しました。
このように、「私の隣はあなたがいい」「あなたの隣は私がいい」というように、依とひまりの気持ちは、最後には通じ合っていたのです。
思えば二人の出会いは、互いに異なる『好き』を抱いており、気持ちがすれ違っていました。
しかし、約束の日には、二人の気持ちは重なる同じものになっていたのです。
「始まりはすれ違っていたけど、最後には通じ合うことができた」そんな二人を見て、よかったねという気持ち、感動、萌えなどの様々な感情が私の中に湧き上がってきていました。
この第15話は、本当に素晴らしい回だったと思います。
互いの抱いていた気持ちが重なることで、ひまりと依が恋人になったということが表されていたことが、非常にエモくて、印象に残りました。
③「私はこれを恋と呼びたい」
最後は、依の言葉についてです。
2つ目と同じく第15話で、依は「そう思うこの気持ちを私は__恋と呼びたい」と思っていました。
ひまりをはじめとした作中のキャラクターの様子を見ていれば分かるように、「恋愛的な好き」という感情には、誰しもが戸惑い、心を揺さぶられたり振り回されたりしてしまいます。
そんな中依は、「これが恋なのかな…?」というように恋に対して振り回されるのではなく、「実際はどうかわからない、でも自分のこの気持ちを恋と呼びたい」と考え、恋を自分のものにしていて、非常に印象的でした。
“好き"を探すのではなく、自分の気持ちに“好き"と名付けるなんて、最高にクールでかっこいいじゃないですか!
第2巻のあとがきには、作者の竹嶋先生が、担当編集の方に「好きが“好き"に変わる瞬間ってなんなんでしょう!?」と迫っていたシーンもありました。
この第3巻全体を通して、そんな竹嶋先生の、「恋愛的な好き」の描き方のこだわりや巧みさ、込められた思いなどを感じることができました。
ささこい、最高だぜ…!!
3. おわりに
今回の内容は以上になります。ここまで読んでいただきありがとうございました。
「ささやくように恋を唄う」は、電子書籍のポイント還元セールをきっかけに購入したのですが、第3巻まで読んでみて、本当に購入してよかったと思いました。
絵、ストーリー、心理描写など全てが本当に素晴らしい作品なので、今後も楽しみに読み進めていこうと思います。
では、今後もよろしくお願いします。