マズラプです。289回目の投稿です。
今回は、ライトノベル『少女星間漂流記 2』の感想を書いていきます。
(※ネタバレありです)
本記事では、少女星間漂流記2 に収録されている「明の星」〜「書の星」の全ての話について、感想を書いています。
皆さんの感想と見比べながら、読んでいただければと思います。
また、以下は、Xに投稿した本作の感想です。
#少女星間漂流記 2 #読了
— マズラプ (@PmP68096801) 2024年7月14日
すごく面白かったです!!✨
多彩で質の高いショートストーリーに、ワタリとリドリーの関係性が盛り込まれていて、味わい深い一冊に仕上げられていました😊
百合需要への供給、助かる👍
私的ベスト3は僅差で『湯の星』『白の星』『無の星』です!
(1/2)#マズラプ本 pic.twitter.com/z2ZoQGPRXc
本記事は、感想や感じた魅力を書いて発信することで、少しでも作者の方の励みになればいいなというような趣旨のものです。
作者の 東崎惟子 先生並びに関係者のみなさんに届け!この思い!
作者の方に関わらず、読んでいただけるととても嬉しいので、どうぞ読んでいってください。
『少女星間漂流記 2』全話感想
明の星
生きている証だと思って見ていた明かりが、死の証だったとは…。
「やったね!→絶望」の流れで、何とも言えない気持ちになりました。
星の星
ワタリとリドリーの百合を感じられる話でした。
ワタリの暗い顔を見ていたくないリドリーや、花開くように喜んで抱きつくワタリがよかったです。
「感情に流されない<クッキーがおいしかったから」というお茶目エンドもよかったですね。
もしかして、リドリーがクッキーの美味しさに着目したのは、食べ物好きなワタリのためだったりするんでしょか…!?むしろそうであれ…!(百合考察オタク)
子の星
「自分の子供はどんなものでも愛おしいもの」みたいな深い系の物語かと思ったら、直球のホラー系物語が飛んできて震えました。
ほくろの真相には戦慄しましたね…。
「あっ」のあたりとか、怖すぎました…。
ワタリを助けるために苦渋の選択をしたリドリーと、リドリーの表情からそれを察するワタリを見て、やっぱり良い関係だなぁと唸っていました。
あと、初心なワタリも可愛かったです(サムズアップ)。
獣の星
「人間と違って邪念がないし」→邪念ありました!
という流れに、頬が引き攣っていました。
“癒し"と“卑しい"を掛けているのが秀逸でした。
概念的にも、癒しと卑しいは紙一重なのかもしれませんね。
また「自分たちの方が立場的に上だと思っていると、相手は“動物"になる」や「癒しを享受できるのは、相手が自分より下の存在であることが前提になっている」といったことも考えました。
それはそれとして、犬や海豹の発言には激しく同意していました。
犬「ああいう根暗そうな人間が、俺にだけ心を開いてくれるのがかわいいだろうが」
私「わかる(腕組み)」
脂の星
バッドエンドを避けほっと胸を撫で下ろした一方で、なんだか切なさの残る終わり方が印象的でした。
ワタリが薬の飲まなかった理由が「リドリーの想いが通じたから」ではなく「更に醜くなった自分を見たら本気で死にそうになるから」なのが、この話のミソだと感じました。
今回は、ワタリの「悪い部分ばかりが目につく、ワタリ自身の卑屈さ」により、バッドエンドを回避したわけです。
でもそれは、薬を飲む飲まない以前からのものです。
つまり、リドリーの「ワタリは今のままで、こんなにも素敵なところがある」という想いはワタリに届いていないと捉えられます。
今までの物語から「ワタリとリドリーは相思相愛で信頼を寄せ合っている」と感じていたので、こういった結末になるのは意外でした。
ワタリの心の暗がりや、2人の関係性の新たな一面を感じられ、また本作への推し度が高まりました。
誘の星
ヒェってなるタイプの話でしたね。
あまりにも条件が良すぎる場合には、疑ってかかるべきだなと感じました。
また、ワタリのリドリーへの信頼度の高さも描かれていましたね。
たとえ根拠がなくても、リドリーの言葉を指針にするワタリにグッときました。
あと、ふにふにシーンは萌えました。
たくさん食べるワタリが好き。
罪の星
読み始めでは『黒い汚れ』は、病や人体のエラーのような“悪い存在"なのかと思いました。しかし実際は、『黒い汚れ』は男のなけなしの良心つまりは善の部分であり、殺人衝動に侵された男が“悪い存在"だったのだなと解釈しました。
殺人衝動は、精神疾患であり、つまりは病と捉えられますものね。
罪の星というタイトルから考えるに、黒い汚れは“罪"悪感だったのかもしれませんね。
また今回も、脂の星と同様、少し切なさの残る話でした。
いつもならワタリが助けに来てくれそうですが、今回はそう都合よくいきませんでしたね。
「ワタリの馬鹿力でもどうにもならない」という前振りが効いていました。
ワタリとリドリーは、どちらも優れている掛け替えのない2人ですが、それでも全てを乗り越えられるわけではないという現実を突きつけられたようでした。
しかし、それが人間らしさでもあるのかもしれません。また、失う危険と隣り合わせだからこそ、2人の旅は尊いものとも言えます。
蛇足ですが、首絞めから絶望が現れるまでの過程が、かなり丁寧に描写されていて癖に刺さりました。
涎まで描写されていたり、ワタリを呼ぼうとしても声が出なかったり、死ねないのはワタリのためだったりしたあたりには、グッときてしまいました。
これ以上筆が乗る前に、次に行きましょう!
奴の星
『増殖するG』…!!
ここは一旦、ゴリラで手を打ちませんか…? ゴマアザラシでもいいですよ…!
犬っぽい雰囲気を漂わせるフリが秀逸でした。
「奴隷の"奴“?」と予想していましたが、それすらも超えてきて笑うしかありませんでした笑
ゴキブリを『奴』と表現していることから、並々ならぬ思いが感じられますね(震え)。
誤の星
東崎先生に心を弄ばれた話でした。
リドリーの行動に関しては「ワタリがいるのに、リドリーが他の人とそんなことするかな…?」と、少し疑問を抱きました。
しかし、ワタリの言動には全面的に納得しましたし、むしろ解釈一致で、もはや萌えていました。「抵抗しても無駄だよ。私の方がずっと強いんだから」とか「安心して、弱いところ全部知ってるんだから」とか、よかったです。
「ヤンデレなワタリもいいね!」
「……え?『狂愛百合チャンネル』??」
「……なかなかいい趣味してるじゃあないか……」
「ま、まぁ、リドリーがワタリをおいて他の女と変なことするわけないもんね!し、知ってたし!」
“ヤンデレワタリ"概念を想像して受け入れちゃったんですけど!
どうしてくれるんですか!!
東崎先生!!!
湯の星
空気感の転換が印象的な話でした。
“不思議な現象も「なぜなら温泉だから」なゆるゆる雰囲気→「薬効を阻害する食べ物を摂取することで窮地を脱する」という論理的・科学的方法で突破する"
という流れは、良い意味で予想を裏切られました。
この展開の秀逸さに脱帽し、今回のベスト3の1つになりました。
あと、ふにゃふにゃワタリも可愛かったです。
待の星
ストレートな感動物語でしたね。本作の物語の多種多様さには、驚かされるばかりです。
「最後まで私のお嬢様でいてくださって、ありがとうございました。」は、本当のお嬢様と、お嬢様を演じてくれたワタリの2人に対しての言葉だったのかなと思いました。
白の星
濃密な百合を摂取でき、かつ「正しい百合の楽しみ方」を学べました。
ワタリとリドリーの、かなりストレートな百合の供給に、もはや感動しましたね。
百合供給に胸が高鳴ったので、今回のベスト3の1つになりました。
やっぱり本作はまごうことなき百合作品だったんだ…!(歓喜)
ワタリが百合の香りを吸ってリドリーを押し倒してしまう
↓
ワタリは百合の香りに抗いリドリーを逃す
↓
しかし百合の香りに完全に支配され、捕食のようなキス(←とても重要)をしてしまう
やはりこの流れが一番良かったです。一旦抗っているのにグッとくるし、捕食のようなキスには悶えました。
星人「ああ! 尊い!」
私「わかる(首肯)」
その後、しっかり思いの込められたキスで締められていて、言うことなしでした。
頬へのキスというのが、「恥じらいが含まれている=リドリーの本心」のように捉えられて、味わい深いですね。
また「百合には生命力と繁殖力がある」から、百合(概念)は、守ってあげなければならない存在ではないのだなと痛感しました。
百合は、干渉せず、その触れ合いを見守っていましょう。
星人のような、厄介百合オタクになってはいけないと、改めて心に誓いました。
最初から最後までワタリとリドリーの百合たっぷりで、大満足でした。
勲の星
シンプルに怖かったです。
善意からくる残虐ほど、怖いものはないですね(震え)。
無の星
“何でも手に入るということは、何も手に入らないということ"が心に響きました。
得られるものだけでなく、得られないものがあるからこそ、得られるものの価値やありがたみ、大切さを感じられるのかもしれませんね。
このことから「自分が持っていないものではなく、自分が持っているものに目を向けて」生きていこうと思いました。
「ないものねだり」ではなく「あるもの感謝」が大切ですね。
素晴らしい学びを得られたため、今回のベスト3の1つに選出しました。
また、科学者のサガや権能よりも、ワタリの価値がわからなくなる危惧を重く見たリドリーの選択には、グッときました。
話は変わりますが、今回登場した女性は、まさか『果てを見てしまったリドリー』だったりするのでしょうか…?
そんな匂わせ?も含めて、面白い話でした。
懐の星
懐(ふところ)と読み方が明言されていたのが印象的でした。
懐に入れて寝るくらい大切にしていたという意味だったのですね。懐かしいと読ませるよりも、さらにエモさが増していてよかったです。
アリスに子供っぽい張り合い方をするワタリもかわいかったです。
書の星
空気感の転換が印象的な作品でした。コミカル雰囲気からの感動物語への転換まであるとは、脱帽です。
そしてまさかのタイトル回収には驚かされました。まさに、第2巻の最後を飾るに相応しい物語だったと思います。
「本は、人だよ。だから面白い」
は、かなり的を得ているなと感じました。
一見、小説はキャラクターが動き描いていくストーリーが面白いジャンルのように思えます。しかし実際は、キャラクターの人生観や物語の展開には、作者つまりは“人"の思いやメッセージが込められていることが往々にしてありますからね。
しっかり核心的な内容で締められていてさすがだなと思いました。
私は本作も面白い作品だと感じています。つまり、私は本作を通して、東崎先生を感じているわけですね…!
これからも東崎先生を感じていこうと思います!(気持ち悪いのは承知しているので流してください。)
「性格の悪い奴が書くと面白いんだって」
「そうだよ」
え、自虐……?
おわりに
今回の内容は以上です。ここまで読んでいただきありがとうございました。
余談ですが、あとがきもギャグ的な意味で、すごく面白かったです。
なんなら、本編全話を通して一番笑ったまであります笑
本作の無限継続を願って、これからも読み続けていこうと思います。