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【感想】「邪悪なモンスター『人間』を殺してレベルアップ!〜虐げられ全てを奪われた私は、ダンジョンになった学園で化物と戦う力を手に入れました。復讐も人助けもやりたい放題です〜」印象に残ったこと3選 〜エグさマシマシ復讐劇(ときどき百合)〜

1. はじめに

 マズラプです。279回目の投稿になります。

 

 今回は、ライトノベル「邪悪なモンスター『人間』を殺してレベルアップ!〜虐げられ全てを奪われた私は、ダンジョンになった学園で化物と戦う力を手に入れました。復讐も人助けもやりたい放題です〜」の感想を書いていきます。

※ネタバレありです

 

 

・「邪悪なモンスター『人間』を殺してレベルアップ!〜虐げられ全てを奪われた私は、ダンジョンになった学園で化物と戦う力を手に入れました。復讐も人助けもやりたい放題です〜」(kiki, Enji, 2023, MUGENUP)

 

 本作品を読んで特に印象に残った以下の3つについて書いていきます。

①強烈で一貫した依里花の歪んだ感性

 依里花の精巧なキャラクター作り

 「過去の痛みを糧にしてピンチを乗り越える」姿がつらすぎる

②心が溶け合うかのような依里花と令愛の関係性(※これは百合です)

 “共依存的"百合

 依里花と『対話』している令愛

③共鳴する同志

 

 

 どちらかというと、作品の紹介というよりは、感想や感じた魅力を書いて発信することで、少しでも作者の方の励みになればいいなというような趣旨の記事になっています。

 

 作者の kiki 先生並びに関係者のみなさんに届け!この思い!

 

 作者の方に関わらず、読んでいただけるととても嬉しいので、どうぞ読んでいってください。

 

 

 

2. 「邪悪なモンスター『人間』を殺してレベルアップ!(以下略)」を読んで特に印象に残ったこと3選

①強烈で一貫した依里花の歪んだ感性

 本作品を読んでまず印象的だったのが、主人公である依里花の感性です。

 

 本作品は依里花の一人称視点で進められていくのですが、物語の凄惨さもさることながら、常軌を逸した依里花の感性にも、かなりのインパクトを受けました。

 

 端的に述べると、感情移入しようとすると心がおかしくなりそうになりました。

 

 

依里花の精巧なキャラクター作り

 本作品は「悪意にさらされても折れない不屈の心を持つ主人公の逆転劇」ではなく「悪意にさらされ続けた結果、歪んだ変質をとげた心を持つ主人公の復讐劇」であるということが一貫して描かれていたと感じました。

 

 

 作中では、以下のような依里花の感性の異常さが、これでもかと描かれていました。

・殺してしまうのはまずい→もっと苦しめたいから
・自分は生け贄のために育てられた→復讐の大義名分をゲットできてラッキー

・馬乗りになって生徒を殴る先生を止める→「刃物を使った方が確実に殺せるよ」

 

 

 そして本作品では、依里花の歪んだ感性がブレることなく一貫して描かれていて、キャラ作りの精巧さに感動しました。

 まぁ、頬は苦笑いで引き攣ってたんですけども。

 

 

 このように頭のネジが外れた依里花のおかけで、常人なら阿鼻叫喚のグロ展開も、なんだか面白おかしく書かれており、サクサク読み進めることができました!すごい!

 

 

 依里花があまりにも楽しそうに復讐をしていくので、私も復讐の楽しさに気付いてしまいました☆

 

 冗談です。通報するのはやめてください。

 

 

 

 

「過去の痛みを糧にしてピンチを乗り越える」姿がつらすぎる

 そんな依里花を見ていて、一番つらかったのは「依里花が過去の痛みを糧にしてピンチを乗り越えていたこと」です。

 

 

 ピンチを乗り越えるとき、一般的には「〜〜のために」など、目的を達成したいという気持ちを原動力にするイメージがあります。

 

 しかし依里花の場合は「今感じている痛みは、あのときの痛みに比べてば大したことはない」と考えて乗り越えていました。

 

 つまり「目の前のつらさを、過去のさらなるつらさの経験を糧にして乗り越えている」わけです。

 

 このことのなにがつらいのかというと、めちゃくちゃつらい経験をしているという揺るぎない事実が提示されていることです。

 しかも、今現在もそこそこつらい経験をしているにもかかわらず、です。

 

 要するに、希望はなく、あるのは痛みだけなのです。

 

 めっちゃつらいじゃないですか!

 

 

 「救われなさすぎるだろ…」と頭を抱えていました。

 

 だがそこがいい。

 

 そんな「つらさしかない主人公の百合作品」にはなかなかに出会えないので、むしろ楽しんでいました。 

 

 kiki先生、さすがです(サムズアップ)。

 

 

 

②心が溶け合うかのような依里花と令愛の関係性(※これは百合です)

 2つ目は、依里花と令愛の関係性が印象に残りました。

 

 絶望しかない世界観と歪んだ依里花の感情の間に、依里花と令愛の心温まる触れ合いが差し込まれていたことで、どうにか精神を保ちながら本書を読み終えることができました。

 

 これは百合です(百合好きオタク)。

 

 

 というわけで本項では、そんな依里花と令愛の触れ合いの中で、特に印象に残ったことについて書いていきます。

 

 

 

 

共依存的"百合

 最も印象に残ったのは、依里花と令愛の関係が共依存的」だったことです。

 

 

 今まで甘えてはいけないと思っていた令愛は、こんな状況だから仕方ないと割り切れたことで、依里花に甘えることができました。

 

 また、自分に価値がないと思い込んでいた依里花は、力を持ったことで、令愛の甘え先として価値を見出だすことができました。

 

 そして依里花も、自分の価値を感じ続けていたいが故に、令愛に頼り続けてほしいと考えていました。

 そのため、今までの友達とは異なり、令愛の前からいなくなることは決してありません。

 したがって、依里花は令愛の「決していなくなることのない甘え先」となりました。

 

 さらに、依里花は自分の価値を低く認識しているため、令愛に向けられる言動がすべて本心からのものになっています。

 そのことも相まって、依里花の言葉は、令愛の心に響くものになっているのではないかなと感じました。

 

 

 読んでいて「この関係は、共依存的な百合なのでは!?」と思い、一人で盛り上がっていました。

 

 

 最初は「自己肯定感の低い依里花にそんなことはないと言う令愛」という構図だったはずなのに、いつの間にか「自分を責める令愛にそんなことはないと言う依里花」という構図に変化していたことも、2人の関係が共依存的なものであることを裏付けているのではと感じました。

 

 

 

依里花と『対話』している令愛

 また、依里花と『対話』していた令愛も印象的でした。

 

 

 第一印象では、令愛は聖人のような白さを持ったキャラクターなのかと考えていました。

 しかし、読み進めるにつれて、打算的な部分をはじめとした黒さを持ち、かつその黒さを認められるキャラクターなのだということが分かりました。

 そしてだからこそ、令愛は依里花と心を通わせることができたのではないかと感じました。

 

 

 相手の主張に耳を傾けずただ自分の主張を述べるのは、押し付けであり対話ではありません。

 それは、犬塚のような悪人であろうと聖人のような善人であろうと、同じことです。

 

 しかし令愛は、自分の主張を押しつけるのではなく、依里花の価値観に耳を傾け理解した上で、自分の考えを述べていました。

 

 まさに、令愛は依里花と『対話』をしていたのだと言えます。

 

 依里花のことを価値のないものとして蔑んだり、化物として恐れたりした人は多くいれど、依里花と対話をした人はほとんどいなかったのではないでしょうか。

 

 そういった意味で、令愛の姿勢は印象に残り、また好きになりました。

 

 

 

 令愛の考えを聞いて、依里花の価値観に少しずつ変化が生じていく様子は、まるで2人の心が溶け合っていくかのようで、なんだか温かさを感じていました。

 

 もちろん、萌え、そして百合も感じていましたよ!

 

 

 心は溶け合った。

 あとは体を溶け合わせるだけだ!

 

 まぁあぁ落ち着いて。通報はやめてください。

 

 

 

 依里花と令愛に関することでは、他に以下のことも印象的でした。

・距離が近い令愛と、それにたじたじな依里花

・いつの間にか令愛のことばかり考え、果てには令愛の不安を払拭するために力がほしいと考えるようになった依里花→百合です(確信)

・『共犯関係』は質の高い百合を形成する

 

 

 kiki先生、質の高い百合をありがとうございます!

 

 

 

 

③共鳴する同志

 3つ目は、上記で述べた以外に特に印象に残ったシーンについてお話しします。


 数ある中で私は、「依里花と七瀬さんが、復讐という同じ目的で通じ合った場面」が一番印象的でした。

 


 七瀬さんと依里花が『可能な限り苦しめてから殺したい』という共通の思考を持っていたからこそ、「七瀬さんが犬塚に心臓を埋め込んでいたというカラクリ」に気づけたという展開は、とても面白かったです。

 「復讐というテーマ」や「それをなそうとするキャラクターの狂気さ」が、謎解きとうまく組み合わせられていてよかったです。

 

 

 そして、志を同じくするものが、言葉がなくとも心で通じ合い、最後には相手の思いまで背負うという展開には、胸が熱くなりました。

 まさかこんな復讐劇の中で少年漫画かのような胸熱展開が来るなんて思いもしておらず、強く印象に残りました。

 

 まぁ、志を持つに至った経緯が「壮絶すぎるいじめ」なこととか、持っていた志が「復讐」なこととか、やろうとしていたことが「復讐対象を苦しめて殺すこと」だとか、中身がいろいろエグすぎて、手放しにエモさを享受できなかったんですけどね!

 

 とはいえ、それがこの作品らしさであり良さでもありますが。

 

 どんなときでも“らしさ"がブレない素晴らしい作品でした!

 

 

 

 

3. おわりに

 今回の内容は以上になります。ここまで読んでいただきありがとうございました。

 

 余談ですが、本作品と、kiki先生の手がける別作品「『お前ごときが魔王に勝てると思うな』と勇者パーティを追放されたので、王都で気ままに暮らしたい」の内容を合わせて考えたところ、kiki先生の好きなシーンがなんとなく分かりました。

 

 2つの作品では様々なシーンが描かれていますが、中でも「ちぎれかかった腕を自分の意思で引きちぎる」「足が引きずり込まれて肉が削ぎ落とされたり切断されたりする」シーンは両作品どちらにも登場しており、kiki先生の特に好きなシーンなのかなと感じました。

 

 先生安心してください。そのシーン、私も好きです!

 

 これからもそういったシーンをどんどん書いてください!

 

 

 kiki先生が手がける別作品「『お前ごときが魔王に勝てると思うな』と勇者パーティを追放されたので、王都で気ままに暮らしたい」のリンクも掲載しておきます。

 気になった方はぜひ!

 

 

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 では、今後もよろしくお願いします。

 

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