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【感想】「私を喰べたい、ひとでなし」5巻 21話『焼け付いた祈り』感想・考察 3選 〜ぐちゃぐちゃになる比名子の心と汐莉の思惑〜

1. はじめに

 マズラプです。186回目の投稿になります。

 今回は、百合漫画「私を喰べたい、ひとでなし」第5巻を読んだ感想を書いていきます。

 といっても、今回は、ほとんど5巻収録の第21話『焼け付いた祈り』の感想になります。

 

 第21話は、物語の根幹を覆す新事実の数々が明かされ、かなり衝撃を受けました。

 それに伴い21話では、各キャラクターの表情や心情の変化を楽しむことができました。

 

 そんな21話を読んでの感想や考察を3つ挙げていきます。

 

 どうぞ読んでいってください。

 

 

 

 

2. 私を喰べたい、ひとでなし 5巻 21話を読んだ感想・考察 3選

◯情報整理

 まず、第21話で明らかになった新事実をまとめてみます。

 

  • 比名子は旅行先で、汐莉から血を与えられていた。これは事故が発生する前であり、輸血ではない。
  • 汐莉は比名子を喰べる気は全くない。
  • 事故直後に比名子が聞いた「比名子だけは生きて」は、家族の声ではなく、汐莉の声だった。

 

 以下で、この事実を受けて、感想・考察を3つ挙げていきます。

 

 

 

①比名子の心情

 21話を読んで、まず考えたのは、真実を知った後の比名子の心情です。

 率直に、比名子の心はぐちゃぐちゃになってしまっているのではないかと感じ、いたたまれない気持ちになりました。

 

 

 まず、汐莉が比名子を喰べる気がないことが分かったことで、比名子は自分の望む死に方ができなくなりました。

 汐莉に喰べてもらうことは、比名子の生きる希望であったため、これが奪われたことにより、比名子は死にかけのような気持ちで生きる生活に逆戻りすることになります。

 

 

 次に、比名子が事故直後に聞いた「比名子だけは生きて」という声は、家族のものではなかったことが判明しました。

 それはすなわち、比名子が生き続けなければならない理由は、最初からなかったということになります。

 このことを知ったとき、比名子の心の中では「今まで家族のために必死に生きてきた時間はなんだったのか」「それなら自ら命を絶ってもいいのではないか」というような思いが渦巻いていたのではないかと考えられます。

 

 

 しかし、汐莉は比名子を死なせる気はさらさらなく、どんな手段をとっても比名子を生かそうとしています。

 

 したがって、比名子は「生き続けなければならない呪縛がなくなったのに、家族のもとに行くことはできない」こんな生き地獄とも言える状態で、ずっと生きていかなければならないことになったのです。

 

 

 正直、もはや物語開始当初より悪化してしまっています。

 

 この状況下の比名子の気持ちを少し考えただけで、形容し難い悲しさで心が満たされていくようです。 

 

 

 しかしながら、私自身、そんな比名子の心情を考えたり表情を見たりすることに、心地よさを感じてしまっていることもまた事実です。

 

 死ねないことで生きる希望を失うといった、比名子のような属性を持った主人公の百合作品はそうそうないため、なんだか新鮮な気持ちを味わうことができ、楽しんですらいるのかもしれません。

 

 いや、私はかわいい女の子のいろんな表情に萌えを感じるだけですからね!

 

 ……もしかすると、私はヤバいやつなのかもしれません。

 

 

 

②汐莉の目的

 次に、汐莉の目的について考えていきます。

 

 汐莉は第5話『希望の海』で比名子を喰べると言っていましたが、21話で明らかになった事実から考えると、汐莉は最初から比名子を食べる気はなかったことが分かります。

 したがって、汐莉が5話で比名子と交わした約束は、比名子に生きたいと思わせることが目的だったと言えます。

 汐莉は、ただただ比名子に生きてほしかったということですね。

 

 また、汐莉は比名子に対して、無関心ではなく死なせたくないと考えていることから、比名子を特別視していると言えますね。

 

 第22話では、汐莉は動物園にいる人や動物がただの肉塊にしか思えないと話していますが、その一方でいかなる手段を用いても比名子を生かそうとしています。

 このことからも、汐莉は比名子を特別視していることが分かりますね。

 

 

 これだけ汐莉が比名子に入れ込んでいるとは、一体どんな過去があったというのでしょう…。

 今後明かされるであろう汐莉と比名子との出会いに注目していきたいですね。

 

 

 

 

③「ひとでなし」

 最後に、21話の中で忘れてはいけないのが、「ひとでなし」という台詞が登場したことです。

 この「ひとでなし」は、タイトルにもなっており、この作品におけるキーワードと言ってもいいと思います。

 

 作中において「ひとでなし」は、第5話『希望の海』にも登場していました。

 しかし、21話と5話の「ひとでなし」では、言葉に込められた思いにかなりの違いがあると感じました。

 

 

 5話での「ひとでなし」は、比名子が汐莉と「自分を喰べてくれる約束」をしたあとに登場しました。

 このことから、比名子の汐莉に対する「この人なら私を喰べてくれるかもしれない」という希望、つまりは正の感情が見え隠れするような「ひとでなし」だと感じました。

 また、「ひとでなし」は、『人情がない』という意味と『人外である』という意味で捉えることができますが、この5話での「ひとでなし」は、どちらかというと『人外』のニュアンスのほうが強いように感じました。

 これは、比名子にとって汐莉が「自分を喰べてくれる存在」に映っていることに起因しています。

 

 対して21話での「ひとでなし」は、汐莉が比名子を喰べることはできないことが発覚した直後だったため、比名子の「裏切られ絶望した」という負の感情が詰まっていると感じました。

 そのため、21話では『人情がない』というニュアンスの言葉として用いられていると考えます。

 

 

 このように、5話と21話の「ひとでなし」は、込められた思いにかなりの違いがあり、対照的なものになっていると思いました。

 

 「ひとでなし」という言葉をここまでうまくストーリーに絡めてくる展開には、感動すら感じ、脱帽しました。

 

 

 個人的には、最後にもう一度、生きたいと思えるようになった比名子が、5話とは比べ物にならないくらいのポジティブな思いを込めて「ひとでなし」と口にするシーンを見たくなりました。

 果たして今後の展開やいかに…!

 今から続きが待ち遠しいです!!

 

 

 また、繰り返しですが、死なせないと言って人情がないと言われる、そんな灰暗い世界観が、この作品の1番魅力だなぁと心から感じています。

 いやぁ、いいですねぇ…(しみじみ)

 

 

 

3. おわりに

 今回の内容は以上になります。ここまで読んでいただきありがとうございました。

 この作品を読み、この作品の灰暗い雰囲気に触れるたびに、この作品に出会えてよかったと心から感じます。

 「私を喰べたい、ひとでなし」が、もっと多くの人に読まれていけばいいなと切に願っています。

 では、今後ともよろしくお願いします。

 

 

 

 

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