1. はじめに
マズラプです。206回目の投稿になります。
今回は、ライトノベル「アマルガム・ハウンド 捜査局刑事部特捜班」を読んだ感想を書いていきます。
本作品を読んで、イレブンに惚れました。
イレブンの、「怪力を振るい淡々と敵を薙ぎ払っていく兵器らしい姿」や「兵器として指揮官の欲求を健気に忠実に満たそうとする姿」、そして「まるで心持っているかのような兵器らしからぬ姿」、それら全てが魅力的に感じました。
いやぁ、兵器な女の子も、いいですね〜(噛み締める感情)
そんな「アマルガム・ハウンド 捜査局刑事部特捜班」を読んで、特に印象に残ったこと・好きなシーンを3つ選びました。以下の3つになります。
①テオの怒りを増幅させようとしたイレブン
②テオを怒鳴ったイレブン
③イレブンの瞳を見つめ返せるようになったテオ
本記事はどちらかというと、作品の紹介というよりは、感想や感じた魅力を書いて発信することで、少しでも作者の方の励みになればいいなというような趣旨の記事になっています。
作者の駒居未鳥先生並びに関係者のみなさんに届け!この思い!
作者の方に関わらず、読んでいただけるととても嬉しいので、どうぞ読んでいってください。
2. 「アマルガム・ハウンド 捜査局刑事部特捜班」を読んで印象に残ったこと3選
①テオの怒りを増幅させようとしたイレブン
1つ目は、テオの怒りを増幅させようとしたイレブンが印象に残りました。
イレブンの兵器らしさが分かる
このシーンは、読んでいてかなり衝撃を受けました。
イレブンが唐突にテオに攻撃的な態度とり、テオを侮辱し始めたときには、一瞬何が起こったのか理解できませんでした。
しかし、イレブンはテオのアマルガムに対する憎悪を晴らそうとしていただけで悪意はなかったことを理解したとき、嬉しいような切ないような、なんだか感傷的な気持ちになりました。
特に「あなたの気の済むまで死んでみせることはできます」や(厳密にはこのシーンの言葉ではないが)「あなたが満足するまで何度でも死んでみせたのに」という言葉が印象に残りました。
この言葉を読んで、あまりの献身さになんだかゾクゾクしてしまいました。
このように、このシーンは、兵器であるイレブンの「忠実に人の欲望を叶えようとする健気な姿勢」や「欲望を叶えることでしか価値を見出せないという切なさ」を感じることができ、私のお気に入りの場面の1つです。
まさに兵器にしかできない所業
そしてこのシーンの凄さの真髄は、イレブンがテオを助けた兵士であったことが明かされたことで顕現したと思いました。
イレブンは、テオの善性に輝く瞳を強く記憶していました。
このことは、イレブンがテオの善性、つまりは正義の心に感銘を受けたとも捉えることができると思います。
ここで注目すべきなのは、前述したテオの怒りを増幅させたシーンで、イレブンはテオの正義を愚弄しているということです。
いくらテオの欲望を満たすためとはいえ、普通の人であれば、相手の尊敬している部分を貶すことはそう簡単にできることではないと考えられます。
仮にできたとしても、表情や体に何かしらのサインが現れ、「ただ相手を貶すだけの存在」にはなりきれないのではないでしょうか。
しかし、イレブンは、兵器であるが故に、本心を表に出すことなく、自身が尊敬する部分を愚弄できたわけです。
感情を表に出すことなく、忠実に相手の欲望を満たす行動を取ることができる、兵器のイレブンだからこそできたことだと感じました。
このシーンは、まさに兵器な女の子という本作品らしさが出ている部分と言えますね。
いやぁ、私もイレブンと暮らしたくなりましたね。(兵器の恐ろしさを知らないため無理)
②テオを怒鳴るイレブン
2つ目は、イレブンを庇おうとしたテオに対して、イレブンがテオを怒鳴ったシーンが印象に残りました。
互いを思いやっていることが分かる
こちらのシーンでは、2人とも声を荒げており、なんだかすれ違っているような雰囲気すら感じさせます。
しかし実際は、互いを思い合っていることが見て取れるシーンであり、印象的でした。
テオは、イレブンに覆い被さる直前、過去の仲間が死んでいく光景を思い出していました。
このことはつまり、テオにとってイレブンの存在が変化していることを示唆していると言えます。
テオはイレブンと接するうちに、イレブンのことを、憎むべき兵器ではなく信頼できる仲間だと思うようになっていったのですね。
対してイレブンは、テオに対して怒りを抱いていたわけではなく、ただ動揺していたのだと感じました。
イレブンは、まるで執念かのように、テオのことを絶対に死なせないと言っていました。
そんなイレブンの目の前で「テオが死ぬ、しかも自分のことを庇って」という状態が発生しかけたのです。いくら兵器といえど、激しく動揺したのではないでしょうか。
そしてテオにどうしても死んでほしくなかったがからこそ、イレブンは怒鳴ったりテオの妹のことを口にしたりしたのではないかと考えました。
このように、読者視点では、このシーンではテオとイレブンが互いに互いを思いやっていることが分かります。
おそらくテオとイレブンも互いの真意には気付いていたのではないでしょうか。
個人的にかなりエモさを感じて、とても好きなシーンです。
イレブンが自身の願いを叶えるために行動しているのでは?
また、このシーンは、イレブンが自分の欲望によって行動しているとも言えるのではないかと考えました。
テオがイレブンに覆い被さったとき、テオは明らかに自身の生存の優先順位を落としていると考えられます。
したがって、テオの欲望は生存することではなくなっていると言えます。
しかし、それでもイレブンはテオの生存を最優先としていました。
このことはつまり、イレブンは、テオの欲望を満たすためではなく、自分の欲望を満たすために行動したと捉えることができるのではないでしょうか。
もしそうであれば、兵器にも感情や心が宿ることの証明とも言え、また違った意味で素敵なことだと思います。
あくまで私の考えですので、実際はどうかは分かりません。
しかしながら、そんな可能性も見出せる、ロマンのあるシーンとも言えるのではないでしょうか。
③イレブンの瞳を見つめ返せるようになったテオ
3つ目は、イレブンの瞳を見つめ返せるようになったテオが印象に残りました。
本作品の最後に以下の文がありました。
透徹とした灰色の瞳が、テオの姿を偽りなく映す。テオは彼女の視線を、正面からやっと受け止めることができていた。
こちらの文は、テオがイレブンを、アマルガムではなく仲間として見ることができるようになったことが表現されているように思えます。
しかし、それだけでなく、テオが過去を清算し、自分を許すことができたといったことも示唆されているのではないかと考えました。
ポイントは、『テオの姿を偽りなく映す』です。
この点から、テオが直視できずにいたのは、自分自身の姿だったとも捉えられるのです。
そして、自分の姿が映るイレブンの瞳を受け止めることができるようになったということはつまり、テオが自分自身のことを受け止めることができるようになったということだと言えます。
イレブンはテオの正義を尊敬し肯定してくれました。
それにより、テオは過去の自分を責めることをやめられ、今の自分はヘザーに誇れるヒーローに近づけていると思うことができたのかなと思いました。
オシャレで感動的な終わり方で、最後の最後まで楽しむことができました。
3. おわりに
今回の内容は以上になります。ここまで読んでいただきありがとうございました。
正直な話をしますと、本作品を手に取ったのは、表紙のイレブンのイラストが私の好みだったことがきっかけになっています。
かわいい女の子目当てで読み始めましたが、前述したように内容も素晴らしく、本書に出会えてよかったと感じました。
では、今後もよろしくお願いします。
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