1. はじめに
マズラプです。209回目の投稿になります。
今回は、ライトノベル「死亡遊戯で飯を食う。2」を読んだ感想を書いていきます。
「死亡遊戯で飯を食う。2」を読んで、特に印象に残った以下の3つのことを挙げていきます。
①2つの物語を通して描かれた『幽鬼の対比』
②自分の人生観を見つめ直すきっかけに
③「あんなやつが?」 呼び覚まされた本能的欲求
第1巻の感想はこちらです。
どちらかというと、作品の紹介というよりは、感想や感じた魅力を書いて発信することで、少しでも作者の方の励みになればいいなというような趣旨の記事になっています。
作者の鵜飼有志先生並びに関係者のみなさんに届け!この思い!
作者の方に関わらず、読んでいただけるととても嬉しいので、どうぞ読んでいってください。
また、第2巻巻末に収録されている解説が非常に的を得た内容になっていたことを考慮し、今回はいつも以上に独創的な内容になっております。
その点についてもご了承いただけると幸いです。
久追遥希先生、三河ごーすと先生、素晴らしい解説をありがとうございました!
2. 「死亡遊戯で飯を食う。2」を読んで印象に残ったこと3選
①2つの物語を通して描かれた『幽鬼の対比』
1つ目は、「スクラップビル」「ゴールデンバス」の2つのゲームにおいて幽鬼のコンディションが対比されていると感じたことが印象に残りました。
2つのゲームを比較したとき、幽鬼のコンディションに大きな違いがあり、ゴールデンバスのときの幽鬼が、いかに不調だったかがとても伝わってきました。
スクラップビルでの幽鬼は、ゲームの本質や、最後に待ち構えている試練にいち早く気づき最適とも言える立ち回りをしていました。
他にも、トラップ探知・回避能力、運営の意図まで汲んだゲーム理解力、周囲の景色を記憶する能力、空気の流れを察知する能力など、幽鬼のプレイヤーとしてのスキルの高さが惜しみなく表れていました。
また、今回のゲームはぬるかったと考えたり、御城を弄ぶような行動をしたりと、余裕を持ってゲームをプレイしていたことを感じさせます。
さらに、言葉の足が吹き飛んだときに「胴体は残っていてよかった」と感じたり、オオカミに腹を噛まれている状況下で自分の勘が戻ってきていることを確信して安心したり、御城の予想外の行動を受けて御城を気に入ったりと、幽鬼節も全開でした。
まだ10回目かつ前回のゲームからのブランクが空いている状況だったにも関わらず、幽鬼は素晴らしいパフォーマンスをしていたと思います。
それに対して、ゴールデンバスにおける幽鬼は、ポンコツとさえ言えるほどに、調子の悪さが浮き彫りになっていました。
ゲーム開始前には発信機と睡眠薬を間違えて飲み込んでしまったり、マップを正確に把握できていなかったり、最後には無謀ともいえる特攻しか思いつかなったりと、ほとんどいいとこなしでした。
かたやゲームを完全に攻略し無双する幽鬼、かたやゲームに翻弄され窮地に陥る幽鬼。
今回の2つの物語で、三十の壁の恐ろしさが描かれていたと思いました。
私はポンコツな幽鬼もギャップがあって好きですよ!
とはいえ、苦しむ幽鬼の姿は見ていて辛いものもあったので、最後には復活してよかったです。
今後の幽鬼のさらなる活躍に、今から期待で胸が膨らんでいます!
②自分の人生観を見つめ直すきっかけに
2つ目は、幽鬼が金子に自身の価値観を否定されたと感じた場面が印象に残りました。
この場面は、誇りを持ってデスゲームのプレイヤーをしているんだと言えなくなるくらい幽鬼のスランプはひどいものであることを表しており、幽鬼が陥っている状況の深刻さを物語っています。
しかし私は、この場面を読んで、読者に対して『人それぞれだから大丈夫』と励ますことの覚悟を問うているように感じました。
この場面を読んだとき、私は幽鬼に対して「考え方、生き方は人それぞれだから、大丈夫。金子の言葉を聞く必要はない」と言ってあげたいと考えました。
私自身自分の価値観を否定されて嫌な思いをしたことは何度もあり、幽鬼の思いにも共感していたので、半ば反射的に、幽鬼を励ます言葉を思い浮かべていました。
しかし、幽鬼はデスゲームのプレイヤーです。自ら自分の命を脅かし、ときには他人の命さえも手にかける、そんな人種なのです。
「あなたはそんな人に対しても『人それぞれだから大丈夫』と言葉をかけることができますか?」そう問われている気がしました。
このことに気付いたとき、人を励ます言葉をかけることにも責任があり、確かな重みがあるのだと感じました、
そして、それでも私は、「人それぞれだから大丈夫」と幽鬼の意思を尊重したいと考えました。
私のモットーは「自分の楽しいこと、やりたいことをする」です。
他人にどう思われようとも、自分にとって価値のあることをし、自分が楽しめればそれでOKというのが今の私の考えです。
そのような人生を幽鬼にも全うしてほしい、そう思いました。
私の価値観を幽鬼に押し付けてしまっている面もあるかもしれませんね。
いずれにせよ、脳死ではなくしっかり考えた上で、幽鬼の背中を押したいと結論付けました。
これにより、自分の人生観を見つめ直すことができました。
読んでいただいてお分かりの通り、本項目の内容は、個人的解釈かつ自分語りになってしまいました。
しかしながら、本作品はそれくらい日常的な課題に向き合う作品であり、読者の思いを想起させるものであるということの表れだということで、手打ちにしてもらえると助かります。
今回の第2巻を通して、幽鬼が99連勝を達成する瞬間、そしてそれまでの道のりを見たいという思いがより一層強くなりました。
がんばれ幽鬼!!
③「あんなやつが?」 呼び覚まされた本能的欲求
3つ目は、幽鬼が三十の壁を突破するきっかけとなった場面が印象に残りました。
御城との再戦の際に幽鬼の頭の中に浮かんだ「四十回だって?あんなやつが?」「あんな下手くそにやられるのだけは、我慢ならない。」という言葉がとても印象的でした。
正直な話、「自分より下だと思っていた人が、客観的に自分より上にいて、激しい悔しさを感じたこと」は、私もあります。
そのため、幽鬼の感じた思いに強く共感しました。
また、その思いを晴らすために奮起する幽鬼の姿には、確かな熱さを感じました。
これぞまさに『人生』なんだと、胸が高鳴りました。
「99連勝を達成する」という高尚な目的ではなく、「こんなやつに負けたくない」という低俗で本能的な欲求に意識が塗り替えられたことで、変な気負いなどがなくなり、幽鬼はいつも通り動けるようになったのかなと考えました。
もしくは、『初心を取り戻した』に近い状態になることができたのかもしれません。
本能的欲求につき動かされ、逆境を跳ね除けるというのは、非常に人間味溢れることだと思います。
デスゲーム作品でありながら、こんなかたちの熱さを味わえるのも、本作品の魅力の1つだなと感じました。
3. おわりに
今回の内容は以上になります。ここまで読んでいただきありがとうございました。
第2巻では、「7回目以前のゲームで四肢全てが吹き飛んだことがあるらしい幽鬼」「御城の意思を受け継ぐ者たち(残り2人)」「デスゲーム被害者の会(壊滅済み?)」「幽鬼を『応援』している方たち」など、今後の展開に関わってきそうな気になる要素も多く登場しました。
また、上記の内容では述べていませんでしたが、『三十の壁』を突破するには、キーパーソンが必要になるジンクスもありそうだなと感じました。
御城にとっての狸狐しかり、幽鬼にとっての御城しかり、自分以外の誰かの間接的な補助(意図していない)が必要なのかもしれません。
もしかすると、今後のゲームでは、幽鬼が誰かの三十の壁突破の手助けをする、なんてこともあるかもしれませんね。
これらのことも含めて、今後の展開に注目していこうと思います。
最後に、「死亡遊戯で飯を食う。」第3巻は、2023年春に発売が決定しているそうです。
みんな買おう!!
では、今後もよろしくお願いします。
追記
「死亡遊戯で飯を食う。3」の感想も書きました!
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